なんでも鑑定団・安河内眞美の
安河内眞美「にっぽんの絵、にっぽんの“粋(いき)”」

第一回/

川合玉堂

川合玉堂  当社の「偶庵(ぐうあん)」という名は、近代日本画壇の巨匠・川合玉堂の別号と、晩年を過ごした住居の名に由来しています。  玉堂は晩年、次第に激化していく戦争から逃れるため東京都の奥多摩へ疎開します。若い頃、上京したとき最初に魅了された地でもありました。そして、そ の地にかまえた「偶庵(ぐあん)」が、玉堂の終(つい)の住処となりました。日本の自然と心を謳いあげた山水画を描こうと、亡くなる寸前まで絵筆を走ら せた場所です。  私が尊敬していた鑑定家・川合三男先生は、玉堂のお孫さんにあたります。「鑑定とはセンスだね」と仰っていた先生は、玉堂作品の真贋の、ひじょうに微 妙な違いをしっかりと見分けられていました。三男先生に教えられたこともたくさんあります。  数年前からやっと私も近代日本画を好きになりましたが、それまでは明治以前の古い絵にしか興味が持てませんでした。しかし、そのようなときでも玉堂の 作品には親しめました。ひじょうにうまくて、いいな、と思いました。    玉堂は、日本人なら誰もが共感するような、穏やかな、優しい絵を描いてます。  かつては、日本のどこにでもあったような風景……。  いつしか失い、忘れてしまったひととき……。  そのような詩情あふれる、親しみやすい山水画を玉堂は描きつづけました。

安河内眞美

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